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文献詳細

雑誌文献

検査と技術30巻12号

2002年11月発行

文献概要

オピニオン

生物テロと微生物検査

著者: 浅利誠志1

所属機関: 1大阪大学医学部附属病院感染症対策部

ページ範囲:P.1288 - P.1288

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生物テロに対する国と国民性の違い
 2001年10月17日以降,私のカバンの中そして自宅の防災袋にはシプロフロキサシンが新たに加わりました.ご存じ,炭疽菌治療薬です.
 幸か不幸か私は10月17日に大阪のアメリカ領事館で起こった“白い粉事件”の現場で極めて貴重な体験をした後“1つの確信”を得ました.それは,この日本は現状のままでは“NBC(nuclear-biological-chemical)テロ対策も院内感染対策も徹底できない”ということです.なぜなら,“オウム真理教事件”や米国での“炭疽菌テロ”に関する教訓が,現場で対応していたテロ対策班に活かされていなかったためです.一方,大使館職員は全く慌てることもなく冷静に検査,投薬,その後の対応に関する説明を聞いていました.危機管理意識の低い日本人ならさしずめ大パニックになっていたと思われます.この違いは,国が絶えず臨戦体制にあって危機感を持っている米国と,太平洋戦争以来57年間平和が継続し危機感が低迷している日本との差なのでしょうか.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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