文献詳細
文献概要
絵で見る免疫学 基礎編・35
リンパ球の表面マーカー(その2)
著者: 高木淳1 玉井一2
所属機関: 1ダイナボット(株)器機診断薬事業部 2栄光病院
ページ範囲:P.1332 - P.1333
文献購入ページに移動胸腺で誕生して間もないナイーブT細胞は,血管系とリンパ系の両方を循環して自らに特異的な抗原を探しまわる.ナイーブT細胞は単に血液やリンパ液の流れにまかせて血管とリンパ管を漂っているわけではない.流れに逆らい止まって血管からリンパ管に入ったり,リンパ節内をゆっくり遊走したりしなければ特異的な抗原に出会うチャンスは少ない.そのためにナイーブT細胞は血管系やリンパ管系の壁細胞と抗原非特異的な結合をする.
この非特異的結合をするのは接着分子である.接着分子とは細胞どうしの接着を助ける分子である.主な接着分子はセレクチンと糖鎖(アドレッシン)やLFA-1(インテグリン)とICAM(intercellular adhesion molecule,細胞間接付着分子)-1の結合である(図1).T細胞と血管壁には,セレクチンとそのリガンドである糖鎖が双方に存在する.食細胞は細菌を貪食するとIL(interleukin)-1,6,8,12,TNF(tumor necrotizing factor,腫瘍壊死因子)-αやケモカインなどのサイトカインを分泌する.まず,TNF-αが放出されると血管内皮にセレクチンが,次いでLFA-1のリガンドであるICAM-1が発現される.セレクチンと糖鎖の結合は強くないので,くっついたり離れたりしてリンパ管に至るすき間を探しながら血管壁をゆっくり遊走する.
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