文献詳細
文献概要
絵で見る免疫学 基礎編・36
リンパ球の表面マーカー(その3)
著者: 高木淳1 玉井一2
所属機関: 1ダイナボット(株)器機診断薬事業部 2栄光病院
ページ範囲:P.1402 - P.1403
文献購入ページに移動抗原提示細胞(TCR)にMHC・抗原ペプチド複合体が結合するとその情報が核に送られてT細胞の分化と増殖が始まる.T細胞が抗原提示細胞に遭遇すると2つの確認がなされる.正確にはMHC・ペプチド複合体をTCRとCD4が同時に認識する1つの作業である.
まず,TCRが提示しているペプチドが己に特異的な抗原であるか,そしてCD4またはCD8が自己のMHC IIまたはMHC Iであるかを確認する.さらに抗原提示細胞が発現しているB7とT細胞上のCD28が結合する.しかる後,T細胞は抗原提示細胞によって提示された情報を核に伝達する.しかし,TCRには細胞内に情報伝達に関与している特別な分子を持っていないので,TCRは抗原提示細胞から受けた情報の核への伝達に関与していない.CD4およびCD8(以後CD4のみを記す)はともに細胞質内のドメインにLck,CD3のζ鎖にはFynと呼ばれているチロシンキナーゼ(蛋白のチロシル残基をリン酸化する酵素)を持っている.またCD45はチロシンホスファターゼ(チロシンのリン酸エステルから無機リンを遊離させる酵素)を,CD28はPI(ホスファチジルイノシトール)-3キナーゼ,すなわちPIのリン酸化酵素を持っているが,いずれの酵素も活性が抑制されている(図1).
掲載誌情報