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文献詳細

雑誌文献

検査と技術30巻13号

2002年12月発行

文献概要

検査データを考える

ウイルス感染と造血障害

著者: 富永一則1

所属機関: 1小川赤十字病院第4内科

ページ範囲:P.1417 - P.1421

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はじめに
 赤血球の造血が抑制され,一過性に血球減少を来すウイルス感染としてヒトパルボウイルスB19(B19)が1975年に同定1)されウイルス感染と造血障害の関連が明らかになった.現在では造血障害の機序は①ウイルス感染による直接的な障害(宿主細胞の障害),②ウイルス感染に対する宿主の過剰な生体防除反応(高サイトカイン血症),③宿主とウイルスとの共生により宿主細胞の不活化・癌化,などが考えられている.
 造血幹細胞に感染し直接細胞障害作用を示すものとしてはヒトパルボウイルスB19が代表であるが,肝炎ウイルスやサイトメガロウイルス(cytomegalovirus;CMV)も同様な機序と考えられている.ウイルス感染により間接的な造血抑制因子としてインターフェロン(interferon;IFN)などが産生され,造血細胞の増殖を抑制する作用(高サイトカイン血症)がある.またウイルス感染がなんらかの原因により活性化または腫瘍性(腫瘍化した)のTリンパ球が産生する過剰のサイトカイン(高サイトカイン血症)によりマクロファージが活性化され,貧食を呈し汎血球減少症に至るウイルス関連血球貧食症候群(virus-associated hemophagocytic syndrome;VAHS)がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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