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文献詳細

雑誌文献

検査と技術30巻2号

2002年02月発行

文献概要

絵で見る免疫学 基礎編・26

自己を見失わせる狂牛病の病原体

著者: 高木淳1 玉井一2

所属機関: 1ダイナボット(株)器機診断薬事業部 2栄光病院

ページ範囲:P.124 - P.125

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はじめに
 ニューギニアのフォア地区に食人種が存在していた.彼らは,憎む敵の死体のみならず肉親が死ぬと遺体をその愛情のしるしとして食べていた.1957年,米人ガイデュシェック博士はこの食人種に脳がスポンジ状になり死んでいく奇妙な風土病を発見した.この症状は,狂牛病と狂牛病の牛を食することでヒトに感染する新ヤコブ(Jakob)病と同じである.
 狂牛病の病原体は253個のアミノ酸から成る糖蛋白質の異常型プリオンであり,ウイルスや細菌ではない.正常型プリオンは哺乳類の正常の脳細胞中に多く存在するがその機能は分かっていない.狂牛病および新ヤコブ病の原因は変異型プリオンが侵入すると,正常プリオンが次々に変異型プリオンになっていくからである.変異型プリオンは,正常型のプリオンとアミノ酸組成は同じであるが,立体構造が異なり酵素による分解作用を受けにくく,脳細胞に蓄積し細胞を死滅させる1).正常プリオンも変異型プリオンも自己の蛋白質である.したがって,正常プリオンが変異型プリオンに変わっても免疫機構は作動しない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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