文献詳細
技術講座 血液
赤血球酵素の測定—ピルビン酸キナーゼ,グルコース-6-リン酸脱水素酵素を中心に
著者: 岡田真一1 藤井寿一1
所属機関: 1東京女子医科大学中央検査部
ページ範囲:P.255 - P.259
文献概要
赤血球酵素異常による遺伝性溶血性貧血は,赤血球機能を保つうえで重要な酵素の質的ないし量的な異常により起こる疾患である.ピルビン酸キナーゼ異常症とグルコース-6-リン酸脱水素酵素異常症の頻度が高く,われわれが発見した赤血球酵素異常症はこの二種で全体の82%を占める.従って,赤血球酵素異常症の診断にあたってはピルビン酸キナーゼとグルコース-6-リン酸脱水素酵素活性の測定が重要となる.その他,解糖系,五炭糖リン酸回路,グルタチオン代謝・合成系,ヌクレオチド代謝に関連した約15種の酵素の異常によるものが見出されている.赤血球酵素異常症の病因の78.9%はミスセンス変異に基づく変異酵素の産生によるが,プロモーター領域の変異,ナンセンス変異,塩基欠失,塩基挿入ないしエクソン-イントロンジャンクションの塩基置換による異常スプライシングによる例もある.
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