文献詳細
文献概要
検査じょうほう室 生化学:おさえておきたい生化学の知識
耐糖試験の新しい判定基準
著者: 伊藤千賀子1
所属機関: 1広島原爆障害対策協議会健康管理センター
ページ範囲:P.290 - P.292
文献購入ページに移動はじめに
日本糖尿病学会(以下,学会)では1995年に委員会を設置して糖尿病診断基準値の再検討に入っていた.その間1997年には米国糖尿病学会(American Diabates Association;ADA)1)から,翌年WHO2)から,それぞれ糖尿病の新しい分類と診断基準が提案された.ADAは米国医療の現状から空腹時血糖値(fasting plasma glucose;FPG)のみ行うために,FPGの基準値を140mg/dlから126に引き下げた.一方,WHOはFPGの基準値はADAと同様に引き下げたものの経口ブドウ糖負荷試験(oral glucose tolerance test;OGTT)の重要性を認めOGTT2時間値(2-hPG)は従来と同様に200mg/dlとした.1982年に学会が基準値を作成した時は日本人の75g法のデータはまったくなく,国際比較上の理由からWHOの提案を受け入れた.その後17年間に多くのデータが蓄積され,それを基に日本人にとって糖尿病診断基準としてFPG126mg/dlが妥当なものか否かも検討可能になった.先ず,2-hPGとFPGとの関連や合併症頻度から新基準値設定の経緯と根拠について述べる.
日本糖尿病学会(以下,学会)では1995年に委員会を設置して糖尿病診断基準値の再検討に入っていた.その間1997年には米国糖尿病学会(American Diabates Association;ADA)1)から,翌年WHO2)から,それぞれ糖尿病の新しい分類と診断基準が提案された.ADAは米国医療の現状から空腹時血糖値(fasting plasma glucose;FPG)のみ行うために,FPGの基準値を140mg/dlから126に引き下げた.一方,WHOはFPGの基準値はADAと同様に引き下げたものの経口ブドウ糖負荷試験(oral glucose tolerance test;OGTT)の重要性を認めOGTT2時間値(2-hPG)は従来と同様に200mg/dlとした.1982年に学会が基準値を作成した時は日本人の75g法のデータはまったくなく,国際比較上の理由からWHOの提案を受け入れた.その後17年間に多くのデータが蓄積され,それを基に日本人にとって糖尿病診断基準としてFPG126mg/dlが妥当なものか否かも検討可能になった.先ず,2-hPGとFPGとの関連や合併症頻度から新基準値設定の経緯と根拠について述べる.
掲載誌情報