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Laboratory Practice 生化学:精査と治療に生かす検査データ
慢性膵炎
著者: 渡辺伸一郎1
所属機関: 1東京女子医科大学中央検査部
ページ範囲:P.351 - P.353
文献購入ページに移動慢性膵炎は食生活の欧米化やアルコール摂取量の増加などにより近年増加傾向にある.
慢性膵炎は,持続的な炎症やその遺残により膵の線維化,実質の脱落などの慢性変化を生じ,膵外分泌・内分泌機能の低下を伴う病態である.図に典型的な慢性膵炎の臨床経過を示したが,病気の進行の程度により代償期,移行期,非代償期の三つの病期に分ける1).代償期では膵機能は比較的よく保たれ,膵炎の急性再燃や頑固な腹痛がみられ,一方進行して非代償期になると腹痛はむしろ軽減し膵外分泌・内分泌機能の低下(消化吸収障害と膵性糖尿病)がみられるようになる.このため症状や検査所見もこの病期によって異なる.
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