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文献詳細

雑誌文献

検査と技術30巻4号

2002年04月発行

検査データを考える

咽頭粘液から検出された肺炎球菌

著者: 小栗豊子1

所属機関: 1順天堂大学附属病院臨床検査部

ページ範囲:P.375 - P.381

文献概要

はじめに
 微生物検査の成績を解釈するには①その検査がどんな目的で行われたか,②患者側の背景因子,③検出菌の病原的意義などから総合的に判断しなければならない.例えば結核菌(Mycobacterium tuberculosis)は健常人から検出されることはないので,この菌が検出されれば結核と診断される.しかし,検査の段階で検体の取り違えなどが起これば,結核でない患者から検出されることもあり得る.結核菌が検出され,その患者の臨床症状や,レントゲン所見などからも結核が疑われて初めて結核と診断されよう.万一,検査結果が患者の臨床的背景と一致しない場合には,さらに問診の範囲を広げ,繰り返し検査をすることや,必要に応じ他の検査の追加も必要になる.
 結核菌は結核患者のみしか検出されない重要な病原菌であるが,今回のテーマである肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)はもともと健常人が保有している細菌である.肺炎球菌が血液や髄液など本来無菌の検体から検出された場合は,起炎菌である可能性が強いが,咽頭粘液より検出された場合の解釈は難しい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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