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文献詳細

雑誌文献

検査と技術30巻5号

2002年05月発行

病気のはなし

脳下垂体腫瘍

著者: 山王なほ子1 寺本明2

所属機関: 1日本医科大学附属多摩永山病院脳神経外科 2日本医科大学医学部脳神経外科

ページ範囲:P.418 - P.424

文献概要

新しい知見
 CTやMRIなどの画像診断の著しい進歩により,症状を有することがなく偶然下垂体病変が発見される機会が増加している.このような下垂体の腫瘍性病変を副腎のincidentalomaの呼称にならい,一般に下垂体インシデンタローマ(pituitary incidentaloma)と呼んでいる.いまだその定義は明らかにされていない現状であるが,脳ドックなどの普及により今後ますます増加すると予測される.下垂体インシデンタローマの頻度は剖検下垂体では1.5%から27%の頻度の報告があり,筆者らの1,000例の日本人剖検下垂体においては178個の下垂体病変が発見された1).Hallら2)が正常人ボランティア100人に下垂体の造影MRIを行ったところ,10%に下垂体病変が認められた.わが国における脳ドックでの報告では0.1〜0.3%の頻度と推測される.インシデンタローマのほとんどは非機能性腺腫であるが,免疫染色を行うと,ゴナドトロピン陽性を示し,潜在的に内分泌能を有する腫瘍であることが明らかにされてきている.その自然史はまだ十分に分かっていないが,直径10mm以上のものが増大する傾向があり,10mm未満は経過観察でよいという報告もある3).今後多数例の長期経過観察の集計により,治療方針の確立が待たれる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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