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文献詳細

雑誌文献

検査と技術30巻5号

2002年05月発行

文献概要

Laboratory Practice 病理 細胞像からここまでわかる

呼吸器(12) 肺結核症

著者: 堀内啓1 荒井政和1 松谷章司1

所属機関: 1NTT東日本関東病院病理診断部

ページ範囲:P.466 - P.468

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臨床的特徴
 肺結核症は結核菌によって引き起こされる感染症である.日本での肺結核症の発生は,衛生状態の改善や有効な薬剤の開発により第二次世界大戦前に比べて激減したとはいえ,最近は逆にわずかながら増加傾向を示し,若年者での発症や集団感染の報告もあり,社会的にも軽視できない疾患である.AIDS(acquired immuno deficiency syndrome,後天性免疫不全症候群)などの免疫不全を背景として,肺結核が発症することもよく知られている.肺結核症には,結核性胸膜炎,粟粒結核,増殖性病変,浸出性病変など色々な病型がある.この中で,腫瘍と鑑別を要し,細胞診の対象となる場合があるのは,胸部X線で肺野に孤立性の結節影を形成する場合である.臨床的には,発熱・盗汗・血痰・咳嗽などが見られ,血沈の亢進やCRPの高値などの炎症を反映した検査所見を呈す.確定診断は喀痰中の結核菌を,喀痰塗沫標本の抗酸菌染色や,小川培地での培養で同定することであるが,塗沫標本での抗酸菌染色は検出率が低く,結核菌の培養には長期間を要するため,最近では喀痰中の結核菌由来のDNAをPCR法で増幅して検出する方法も用いられている.PCR法による結核菌の検出は,鋭敏ではあるが,一方,検体中に結核菌のDNAが混入することなどによる偽陽性の可能性もある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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