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臨床検査に必要な統計処理法・30
検査値の臨床的および技術的変動の識別と制御—検査データの客観性を表す統計学的手法の活用
著者: 細萱茂実1
所属機関: 1山梨医科大学医学部附属病院検査部
ページ範囲:P.547 - P.549
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臨床検査の目的は,疾病の診断・治療・予防に役立つ客観的な検査データを提供することにある.臨床検査データの特徴の1つはその客観性にあり,それを保証するためには技術的および臨床的な両面への配慮が必要である.まず,技術的客観性を保証することは,まさに臨床検査室の責任でもある.すなわち,本来の検査値に影響を与える可能性のある,分析段階またその前後段階で生ずる誤差要因の存在とその影響の程度とを常にチェックし,適正な結果が得られるように管理していかなければならない.また,検査値が臨床的に有用であるためには,結果解釈の基準となる健康状態における生理的変動について理解し,目的疾患に対する検査値の動態を事前に熟知しておく必要がある.これら前提は当然な内容ではあるが,その着実な実践が検査結果活用の基本となる.
一方,ある現象が起こる頻度を科学的・客観的に取り扱う学問が統計学であるともいえる.しかしながら,客観性を重視する臨床検査の領域において,統計学が必ずしも十分に活用されているとはいい難い状況がある.技術的信頼性や臨床的有用性を,統計学的手法を駆使することで適正に評価し,真に役立つ検査データを積極的に提供し活用していくことは臨床検査の使命でもある.
臨床検査の目的は,疾病の診断・治療・予防に役立つ客観的な検査データを提供することにある.臨床検査データの特徴の1つはその客観性にあり,それを保証するためには技術的および臨床的な両面への配慮が必要である.まず,技術的客観性を保証することは,まさに臨床検査室の責任でもある.すなわち,本来の検査値に影響を与える可能性のある,分析段階またその前後段階で生ずる誤差要因の存在とその影響の程度とを常にチェックし,適正な結果が得られるように管理していかなければならない.また,検査値が臨床的に有用であるためには,結果解釈の基準となる健康状態における生理的変動について理解し,目的疾患に対する検査値の動態を事前に熟知しておく必要がある.これら前提は当然な内容ではあるが,その着実な実践が検査結果活用の基本となる.
一方,ある現象が起こる頻度を科学的・客観的に取り扱う学問が統計学であるともいえる.しかしながら,客観性を重視する臨床検査の領域において,統計学が必ずしも十分に活用されているとはいい難い状況がある.技術的信頼性や臨床的有用性を,統計学的手法を駆使することで適正に評価し,真に役立つ検査データを積極的に提供し活用していくことは臨床検査の使命でもある.
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