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見開き講座 分子細胞遺伝学への道しるべ・19
染色体11.性染色質
著者: 田村高志1
所属機関: 1杏林大学保健学部臨床遺伝学教室
ページ範囲:P.650 - P.651
文献購入ページに移動1949年,BarrとBertramは雄ネコの神経細胞休止核には見られないが,雌ネコの細胞核周辺部に塩基性色素に濃染する小体を発見した1).また,ヒト女性口腔粘膜細胞などにもこの小体がみられ,これを性染色質(sex chromatin)あるいは発見者の名にちなんでバー小体(Barr body)とも呼んでいる.性染色質は,後に蛍光色素による男性休止核にみられるYクロマチンが発見されたため,Xクロマチンと呼ぶように改められ,XクロマチンとYクロマチンとを総称したものになった.性染色質検査は性染色体異常のスクリーニング検査として行われている.
現在,性別の確認はSRY遺伝子やXとY染色体上に座位するアメロゲニン遺伝子をPCR(polymerase chain reaction)法によって検出することで正確な鑑別が可能である.これらは法医学領域,異性間骨髄移植後の生着の確認やオリンピックなどのスポーツ大会でのセックスチェックに応用されている.
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