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文献詳細

雑誌文献

検査と技術30巻8号

2002年08月発行

文献概要

トピックス

尿中バイオピリン

著者: 原克子1 高橋伯夫2

所属機関: 1関西医科大学附属病院中央検査部 2関西医科大学臨床検査医学講座

ページ範囲:P.791 - P.794

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■ビリルビンの抗酸化作用
 生体への酸化ストレスに対する防御機構としてビタミンEやC,グルタチオン,尿酸など活性酸素を消去する内因性抗酸化作用物質の存在が明らかにされている.ヘムの代謝産物であるビリルビンは,黄疸の起因物質で生体にとって悪影響を及ぼす有害無益な物質と長い間考えられていた.
 ヘムからビリルビンへの中間代謝産物であるビリベルジンは,水溶性で細胞毒性もなく,鳥類ではそのまま排出されるが,ヒト(哺乳類)では酵素反応によってなぜわざわざ脂溶性のビリルビンに代謝されるのかは,謎であった.しかし,1987年にStockerら1)が生理的な濃度である10μmol/lのビリルビンは,α-トコフェロールをしのぐ抗酸化作用を示し,ビリルビン自体が酸化されてビリベルジンおよびその他の酸化生成物質に変化すると報告して以来,ビリルビンは活性酸素を消去して生体を防御していると考えられるようになった.そして,1988年に山口ら2,3)により開発された抗ビリルビン単クローン抗体24G7を用いた酵素抗体(ELISA)法で,外科開腹手術患者群の尿中にジアゾ反応陰性で,24G7に反応するビリルビン類縁物質が増加していることが見いだされた2).これらは,ビリルビンとは異なる物質であり,ビリルビンの酸化生成物質(substance X)と考え,これらをバイオピリン4〜6)と称した(図1).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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