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スタチンの効果
著者: 臼井真1 江頭健輔1
所属機関: 1九州大学大学院医学研究院循環器内科
ページ範囲:P.846 - P.849
文献購入ページに移動日本における死亡率は,悪性腫瘍を筆頭として心血管障害,脳血管障害となっている.特に後者の2つを合わせると悪性腫瘍を上回る.すなわち多くの人は血管障害で死亡しており“人は血管とともに老いる”といわれるゆえんである.フラミンガム研究1)の発表において血管障害(脳血管障害や粥状動脈硬化を主因とする虚血性心臓病など)の危険因子(risk factor)の概念が導入され高血圧,肥満,糖尿病,喫煙とともに高脂血症が含まれることとなった.そのため多くの血中コレステロール降下薬の開発がなされた.現在,コレステロール低下療法により心血管イベントが抑制されることが多くの大規模臨床試験で証明されている.しかし,これらのサブグループ解析から,高コレステロール血症薬のなかでもハイドロキシ-3-メチルグルタルコエンザイムA(3-hydroxy-3-methyl glutaryl coenzyme A;HMG-CoA)還元酵素阻害薬(以後スタチン)の効果はコレステロール低下作用だけでは説明できないことが示唆されている.そのため,それ以外の多彩な作用(pleiotropic effect)が注目され始めている.本稿では,高コレステロール治療薬のなかで中心的役割を果たしているスタチンに注目し,その特徴を述べる.
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