icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術31巻10号

2003年09月発行

増刊号 包括医療と臨床検査

第1章 総論―包括医療とは 4.検査経費のコストダウン方策

1)収支計算に代わる業務判断資料

著者: 近清裕一1

所属機関: 1日本赤十字社医療センター検査部

ページ範囲:P.947 - P.950

文献概要

 はじめに

 今進んでいる医療改革は構造改革であり,組織の改革から業務マニュアルの変更を含む意識改革が必要である.医療産業の活性化と転換のために市場原理を働かせ消費者・患者の意識を高め,診療報酬の改正により適正価格で医療の質の向上を進めている.新医療のシステムを理解して,その改革に積極的に取り組むためには,組織の体質を変えていかなければならない.

 従来は薬剤部と臨床検査部門とはそれぞれが独立した収入があり収益部門であったが,実施料が減少し段階的に診療報酬に包括化され,今は,部門単独のレセプト収入はなくなっている.つまり,臨床検査は診療に大きな影響を持つ支援部門であるにもかかわらず単独報酬のない,部門収支計算ができない環境となった.その環境にあって管理運営を行う,新しいマニュアルを創らなければならない.そこでは臨床検査の直接のユーザである医師と看護師のニーズを満足させる運営形態を確立して臨床との信頼関係を作り,新医療体制や地域医療に質の高い,利用価値のある運営を確立させる必要がある.

 また,臨床検査の単独収入が不透明になり,従来行われていた部門別の収支に従った作業の判断基準が不可能になっている.従来,病院の経理は‘丼勘定'であり今後は企業的経営やITソフトにより部門別の投資効果は明確に判断しなければ,検査部門内の運営管理体制の目標指数であった利益率,業務安全率,労働分配率が‘収入'を対象としているため評価されなくなった.そこで,新しい環境下,臨床検査部の内部の運営管理とコストを的確に評価できる新しい資料を創らなければならない.考えるポイントは2つ.1つは従来行ってきた臨床への貢献度・利用価値の再検討である.一方,経済的には,検査部運営コストが全病院経費の一部として的確であるか運営管理が正確に判断されることである.従来,行ってきた部門収支計算ではなく,検査部内の運営コストの正当性を判断できる資料が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら