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増刊号 包括医療と臨床検査 第2章 各論―疾患の診断治療のために最小限必要な検査
6.慢性閉塞性肺疾患
著者: 谷合哲1 柳澤勉1 大玉信一2
所属機関: 1青梅市立総合病院臨床検査科 2青梅市立総合病院呼吸器科
ページ範囲:P.996 - P.1000
文献購入ページに移動国民医療費の総額は1999年度には30兆円を超えて2001年度にはおよそ31兆円となっている.このままこの制度を続けていけばさらに伸び,国民所得に占める割合がますます高くなり,どこまでが許容範囲であるかが問題になってくる.今後さらに進歩してくる診断法や治療法,あるいは高齢化による医療費の増加に対して,早晩医療費の抑制が起こってくることになるであろう.
医療費抑制の議論で必ず問題になるのは,医療の質を落とさずに,医療費をいかに抑制するかの問題である.その1つの方法として,疾患ごとに包括的な医療費を設定して,無駄な医療費を節減し,必要にして十分な医療が受けられるようにすることが提案され,一部において試行されている.慢性閉塞性肺疾患においても包括医療を行うとすれば,診断および治療法の決定のための臨床検査も,時期に応じて無駄を省き,必要にして十分な検査の在りかたが要求される.
疾患単位における包括医療といっても,初期の診断確定のための検査,類似疾患との鑑別,疾患の程度の判定,合併症の有無,治療方針決定のための検査などがある.治療段階に入っても治療による副作用の有無,治療効果の判定,合併症出現の判定,リハビリテーション段階での検査など,時期に応じて必要な検査がある.包括医療により萎縮し医療の質を落とすことなく,無駄のない検査をすることが求められる.
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