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文献詳細

雑誌文献

検査と技術31巻10号

2003年09月発行

文献概要

増刊号 包括医療と臨床検査 第2章 各論―疾患の診断治療のために最小限必要な検査

25.高血圧症

著者: 保嶋実1

所属機関: 1弘前大学医学部臨床検査医学講座

ページ範囲:P.1096 - P.1102

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 はじめに

 高血圧は頻度の高い疾患で,高齢化がその傾向に拍車をかけている.1977年に米国合同委員会(Joint National Committee;JNC),翌年には世界保健機関/国際高血圧学会(World Health Organization/International Society of Hypertension;WHO/ISH)から高血圧診療のガイドラインが発表され,国際的に高血圧診療の標準化が図られた.その後いずれも新たな研究成果に基づいて数年毎に改訂されており,2003年にはJNC7(2003年)1)とWHO/ISHのヨーロッパ版ともいえるヨーロッパ高血圧学会(European Society of Hypertension;ESH)と心臓学会(European Society of Cardiology;ESC)のガイドライン(2003年)2)が相次いで発表された.わが国でも高血圧診療の指針として両者のガイドラインが利用されてきたが,人種,生活様式や習慣,心血管合併症の種類とその頻度,さらには医療組織などの相違により,その活用の限界が顕在化し,独自のガイドラインの作成が長年にわたって求められてきた.2000年に日本高血圧学会(Japanese Society of Hypertension;JSH)から現時点での高血圧の標準的な治療を目指して高血圧治療ガイドライン2000年版(JSH2000)が発表され3),さらに2002年に老年者高血圧治療ガイドラインの改訂版も発表されて現在利用されている4).近々にJSH2000の改訂版が発表される予定となっている.

 高血圧の最終的な治療目標は,脳,心,腎,末梢血管および眼底などの標的臓器の障害および心血管疾患の予防とその進展の防止にある.したがって,血圧値とともにこれらの標的臓器障害の存在とその程度を評価することが高血圧の重症度診断に必須であり,治療方針の決定および予後の判定の重要な手段となる.一方,高血圧の大部分は現在の診断方法では単一の原因を特定できない,いわゆる本態性高血圧症であるが,10%未満の頻度で原因が明らかな二次性高血圧が存在する.二次性高血圧は若年発症,重症,治療抵抗性かつ進行性である反面,根治可能なものもあり,その発見と診断の臨床的意義は極めて高い.ここでは,わが国のガイドラインに基づき高血圧の診断と治療における臨床検査の指針について述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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