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検査データを考える
大球性貧血
著者: 米川修1 谷脇寛子2
所属機関: 1聖隷浜松病院臨床検査科 2聖隷浜松病院臨床検査センター
ページ範囲:P.1305 - P.1309
文献購入ページに移動貧血,ならびに大球性貧血の定義に触れ,大球性貧血の原因,注意事項を踏まえ検査について解説する.実際の症例も紹介し,読者の今後の診療支援の一助としたい.
医学は最新の科学的根拠に基づいた理論であり,医療は具体的実践といえる.実践の場で重要なのは,頻度と重症度の概念である.つまり,貧血に限らず,あらゆる患者に対し,頻度の高い疾患・原因を効率よく見いだすとともに,稀ではあるが重篤な疾患を見逃さない姿勢が求められる.臨床医は,効率よく的確に診断をするために医療面接,身体診察,さらにそれらを総合したうえで検査を利用している.検査室においては,リアルタイムでの医療面接,身体診察の情報入手はほぼ不可能であることから,いきおい,検査の評価には主治医以上に注意・努力を払うことが必要になる.
ここで,強調・確認しておきたい点は,診療の観点からは,貧血を有する患者の頻度が高いこと.検査の観点からは,血液検査の依頼件数の多いこと,の2点である.しかしながら,一般の病院において,それらを専門とし十分に対応できる血液内科医は少ないのが現状といえよう.当院は病床数744床の急性期型の病院であり,常勤医177名中,内科医58名,うち血液内科医4名の構成である.つまり,血液を専門とする医師,ならびに,比較的血液に関する知識のある内科医も大多数とはいえない状況となっている.ほかの多くの施設も似たような状況下にあると推定している.検査室が基本的検査の解釈を駆使し,大球性貧血に限らず貧血一般(血液検査データ)に対し的確迅速に臨床サイドに還元するのが必須である所以である.
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