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文献詳細

雑誌文献

検査と技術31巻12号

2003年11月発行

文献概要

トピックス

スルフォニル尿素受容体遺伝子

著者: 谷澤幸生1

所属機関: 1山口大学大学院医学研究科応用医工学系生体シグナル解析医学講座分子病態解析学(第3内科)

ページ範囲:P.1342 - P.1345

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 スルフォニル尿素受容体とインスリン分泌

 スルフォニル尿素受容体(sulfonylurea receptor 1;SUR1)は,糖尿病治療薬として汎用されるスルフォニル尿素薬の標的分子で,ATP感受性カリウムチャネル(KATPチャネル)の調節サブユニットである.

 KATPチャネルはブドウ糖刺激による膵β細胞からのインスリン分泌において重要な役割を演じる.すなわち,2型糖輸送担体(GLUT2)によりβ細胞内に取り込まれたブドウ糖は,細胞外のブドウ糖濃度の変化に応じてグルコキナーゼによりリン酸化され,解糖系,TCAサイクルを経て代謝される.これにより生じる細胞内ATP(adenosine 5′-triphosphate)濃度〔ATP/ADP(adenosine diphosphate)比〕の上昇によりKATPチャネルが閉鎖され,細胞膜電位が上昇(脱分極)し,電位依存性Caチャネルが開放される.この結果としての細胞内Ca上昇がインスリンの分泌を促す(図1).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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