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文献詳細

雑誌文献

検査と技術31巻13号

2003年12月発行

文献概要

Laboratory Practice 病理:細胞像からここまでわかる

乳腺(9) 葉状腫瘍

著者: 都竹正文1 秋山太2

所属機関: 1癌研究会附属病院細胞診断部 2癌研究会研究所病理部

ページ範囲:P.1372 - P.1375

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概念および臨床的事項

 葉状腫瘍(phyllodes tumor)は従来,葉状囊胞肉腫(cystosarcoma phyllodes)といわれていた.肉腫という言葉が使われているにもかかわらず葉状囊胞肉腫という名称自体は良性のものを指している.現在,乳癌取扱い規約では良性・悪性を含め,正式名称は葉状腫瘍とされており,葉状囊胞肉腫も同義語として用いてもよいことになっている.なお,葉状腫瘍の間質成分が悪性化したものが悪性葉状腫瘍である.葉状腫瘍では組織像と生物学的性状とが完全に一致しない例もみられるが,組織形態から良性,境界病変,悪性に分類される.

 悪性の判定は間質結合組織成分の細胞密度,細胞異型,核分裂像の頻度,腫瘍辺縁での周囲組織への浸潤性,さらに腺上皮成分と間質結合組織成分のバランスを乱しての間質結合組織成分の一方的増殖などから総合的に判断される.ただし,葉状腫瘍の良性・悪性の組織形態学的判定基準の線引きについては病理学者の間でも必ずしも意見の一致をみておらず,良性,境界病変,悪性の鑑別点について一定の線引きを示すことは,典型例を除き困難であるといわざるをえない.従来の判定基準より良性と診断されたものが悪性と診断されたものに比べて圧倒的に多い傾向にある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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