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文献詳細

雑誌文献

検査と技術31巻13号

2003年12月発行

復習のページ

未固定の脂肪塊が簡単に切れた!?

著者: 三宅康之1

所属機関: 1倉敷芸術科学大学産業科学技術学部生命化学科

ページ範囲:P.1402 - P.1403

文献概要

[乳腺脂肪との飽くなき戦い]

 近年,術中迅速診断は増加傾向にある.そのなかでも特に乳癌症例は増加しており,また1症例で提出される検体数も増えている.なぜならば乳癌手術は術後の美容的配慮や術式や治療方法の進歩から,できるだけ小さく切除する傾向にあるので,肉眼的に乳頭,乳輪が正常であれば多くの施設で乳頭温存術が実施されているからである.乳頭温存術の基本は切除断端に癌細胞がないことを病理組織検査(術中迅速診断)で確認することである.そのため従来よりも多くの切除断端が病理に提出されることになる.

 ところが困ったことに乳腺といえば脂肪組織が多い.脂肪という組織は凍結切片作製においては大きな壁の1つである.教科書などには,脂肪は「氷点が他の臓器と違うため,非常に切りにくい」とよく記載されている.迅速診断において脂肪組織に覆われているリンパ節などを凍結切片として作製する場合,脂肪の部分をできるだけ取り除いて薄切すると授業では教わった.しかし,脂肪塊である乳腺組織ではそうはいかない.「脂肪組織は薄切しにくいので前もって少しクリオスタット内の温度を下げておく」なんて書いてあるものもある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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