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管理血清による外部精度管理への試み
著者: 濱﨑直孝1
所属機関: 1九州大学医学部附属病院検査部
ページ範囲:P.1420 - P.1422
文献購入ページに移動尿や血液など生体成分を化学的に分析してヒトの身体の状態を推測し,病気の診断に利用する試みは20世紀当初から始まりました.1934年当時に診断ができない難病の発育・知育不全小児の尿をFöllingが分析して,その原因を明らかにしフェニルケトン尿症を発見・診断した1)ことで,生体成分分析でヒトの健康状態を推し量る方法が確立しました.これが今日の臨床検査です.現在では,臨床検査データがなければ病気の診断ができない状態にまで発展しています.最近流行っているevidence-based medicine(EBM)という発想は臨床検査で患者の診断をしようということなのです.適切に臨床検査を行い,臨床検査データを適切に判定することで診断方法や治療への指針をevidenceに基づいて,即ち,臨床検査データに基づいて行い,医師の経験だけや好みに頼るやりかたは止めましょうというのがEBMなのです.
このように重要な臨床検査データが測定するごとにばらついたり,病院によって値が違ったりすると,せっかくの科学的診断方法の根本が揺らぐことになります.その意味で臨床検査データの精度管理は非常に大切なのです.
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