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文献詳細

雑誌文献

検査と技術31巻4号

2003年04月発行

ラボクイズ

3月号の解答と解説

著者: 伊瀬恵子1

所属機関: 1千葉大学医学部附属病院検査部

ページ範囲:P.327 - P.327

文献概要

【問題1】 解答:(3) 変形赤血球

解説:本症例は活動性IgA腎症の重症型で,入院時のIgAは425mg/dlと高値を示し腎機能も低下していた.腎生検では糸球体のメサンギウムの硬化変化および線維性半月体の形成があり,IgAの蛍光抗体法で蛍光を確認した.さらにネフローゼ症候群を呈している稀な例である(図1a~c).尿沈では,顆粒円柱,硝子円柱,上皮円柱,脂肪円柱など多彩な円柱が認められた.

 【問題1】に見られる赤血球は,通常見られる赤血球とは形態が異なる.これらは変形赤血球と呼ばれ糸球体由来が示唆される.図2に示したようにドーナツ状,ねじれ状,標的状,断片状など多彩な形態を示し,さらに大小不同を呈する.変形赤血球は,尿ができる過程で血液中の老廃物を選択的に排泄し,必要な物質を尿細管で再吸収する時用いられている浸透圧の濃度勾配差により生じる.また,変形赤血球は非常に壊れやすいため,時間経過やSternheimer(S)染色法では,ゴースト状を呈することがある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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