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Laboratory Practice 病理:細胞像からここまでわかる
体腔液(4) 白血病・リンパ腫
著者: 堀内啓1 牛島友則1 松谷章司1
所属機関: 1NTT東日本関東病院病理診断部
ページ範囲:P.420 - P.424
文献購入ページに移動体腔液中に白血病あるいは悪性リンパ腫の細胞が出現することは,癌腫に比べれば頻度は低い.しかし,鑑別診断においては,常に念頭に置くべき疾患である.特に小児では,これらの疾患が原因となる体腔液貯留が成人に比べて頻度が高く,重要である.白血病やリンパ腫の体腔への浸潤は,進行した病期に発生することが多いが,時には体腔液の貯留が初発症状のこともある.悪性リンパ腫の場合,体腔以外の部位に腫瘤を形成する原発巣があり,それが体腔へ浸潤することがほとんどであるが,稀に,体腔液中にリンパ腫細胞が出現するが,ほかに腫瘤を形成する原発巣がなく,原発性体腔液リンパ腫(primary effusion lymphoma)とよばれる疾患も知られている.また,白血病・リンパ腫の細胞形態の観察には,パパニコロウ染色(Papanicolaou stain)だけではなく,ギムザ染色(Giemza stain)や免疫細胞化学も重要であり,標本作製の際に留意が必要である.
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