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文献詳細

雑誌文献

検査と技術31巻5号

2003年05月発行

文献概要

けんさアラカルト

陽イオン交換クロマトグラフィーによるリポ蛋白分離法

著者: 黒澤秀夫1 堂満憲一1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学柏病院中央検査部

ページ範囲:P.456 - P.458

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はじめに

 動脈硬化の進展と発症にコレステロールが深くかかわっていることは論を待たない.疫学的研究(Framingum Study)の再評価により低比重リポ蛋白コレステロール(low density lipoprotein cholesterol;LDL-C)が重要であることが明らかとなり,動脈硬化学会診療基準においてLDL-Cを重要視する方向性が示されている1).近年,LDL-C,高比重リポ蛋白コレステロール(high density lipoprotein cholesterol;HDL-C)の直接法が開発され,手軽に測定可能となった2~4).一方,高中性脂肪血症患者で増加する中間型リポ蛋白(intermediate density lipoprotein;IDL),PAG(polyaerylamide gel)電気泳動のmidband,レムナント様リポ蛋白コレステロール(remnant like particles-cholesterol;RLP-C)などの構造様式の詳細は不明である.

 リポ蛋白の分離は超遠心法が基準法としてあるが5),手技が煩雑で一般的に普及していない.また,PAG電気泳動法(Lipophor),ゲル濾過法6),イオン交換クロマトグラフィーなど7) が用いられてきたが,定量法としては不備な点が多くいっそうの精度向上が求められていた.

 このような状況の中で,新たに開発したリポ蛋白分離法(陽イオン交換クロマトグラフィー)8,9) は,リポ蛋白コレステロール定量法として世界的に十分通用する方法と考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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