文献詳細
文献概要
けんさ質問箱Q&A
輸血,妊娠と赤血球抗体
著者: 大戸斉1 前原光江2
所属機関: 1福島県立医科大学輸血・移植免疫部 2埼玉県社会保険病院検査部
ページ範囲:P.530 - P.531
文献購入ページに移動赤血球不規則抗体の免疫抗体で妊娠では産生されにくく,輸血で産生されることの多い抗体があるでしょうか.また,この2つの産生機序はどのように違うのでしょうか,教えてください.
(新潟県羽茂町 E.K.生)
A
はじめに
輸血や妊娠によって自己には存在しない同種抗原を免疫的に認識して反応することを,同種免疫といいます.同種免疫反応にも細胞性免疫と液性免疫との両者が関与しますが,赤血球抗原には,後者のほうがよく解明され,主に関与しています.分解された赤血球抗原は樹状細胞などの抗原提示細胞に提示され,ヘルパー Tリンパ球の補助を受け,Bリンパ球が活性化され,形質細胞に分化し,体液中に免疫グロブリンを産生します.これが免疫抗体です.抗体産生に影響を及ぼす要素には,侵入する抗原の種類・量,侵入経路,宿主の個体差などがあります.
掲載誌情報