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男性の更年期
著者: 伊藤直樹1 塚本泰司1
所属機関: 1札幌医科大学医学部泌尿器科
ページ範囲:P.540 - P.542
文献購入ページに移動男性では女性と違い加齢に伴う性ホルモンの低下は個人差はあるものの急激なものではなく,「更年期」とは無縁とされてきた.しかし,高齢化社会が急速に進行するに伴い,高齢者のquality of life(QOL)の向上に目が向けられ,男性ホルモン低下に起因する諸症状の存在がクローズアップされてきた.テストステロン(testosterone)低下で示される生化学的異常と,それに基づく症状・所見から成る症候群に対して,欧米では男性更年期ではなく,androgen decline in the aging male(ADAM)あるいはpartial androgen deficiency of aging male(PADAM)という診断名が用いられている.
■テストステロンの生理作用と加齢に伴う変化
テストステロンは脳,筋,骨,精巣,前立腺,陰茎,心血管系などに作用する.血中テストステロンの約65%は性ホルモン結合グロブリン(sex hormone-binding globulin;SHBG)に結合しており,約35%がアルブミンと結合,1~2%が遊離テストステロンの状態となっている.SHBGに結合していないものが生物学的活性を有するbioavailable testosteroneである.
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