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文献詳細

雑誌文献

検査と技術31巻7号

2003年07月発行

文献概要

私の必要な検査/要らない検査

一般検査―検査医の立場から

著者: 伊藤機一1 野崎司2

所属機関: 1神奈川県立衛生短期大学 2東海大学医学部附属大機病院検査科

ページ範囲:P.628 - P.634

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はじめに

 一般検査は,生体から採取される血液,組織を除くすべての試料すなわち尿・便・髄液・穿刺液・精液・分泌物などが検査の対象となり,内容は外観観察から量・pH・比重・粘性などの理学的所見,定性検査(一部定量検査),顕微鏡的検査までと幅広い.検査法の多くは今なお用手法が中心であり,顕微鏡的検査にあっては知識と経験とが大きくものをいい,熟練技師がそれだけ本領を発揮しやすい分野ともいえる.一般検査の多くはスクリーニング検査として重要な地位を占めつづけており,医療費の抑制策が進む今日,診療支援の担い手としてよりいっそう展開・発展していくものと期待されている.

 一般検査の多くは19世紀末に誕生し,20世紀に花が咲き,現在まで脈々とつながっているものが多い.尿検査のベンス ジョーンズ蛋白(BJP:Bence Jones protein)定性,穿刺液のリバルタ反応(Rivalta reaction)など,人名が付いたものだけでも30近くに及ぶ.臨床的意義が高く,被験者,検査そして環境に負荷を与えない優れた検査(画像診断を含む)の出現に加え,定性検査の多くが有害物質使用のものであったこともあり,これらは自然淘汰されていった.保険診療での診療報酬点数表1) からも一般検査のいくつか(例えば尿ジアゾ反応,尿インジカン,便トリブレー反応,便シュミット反応)は抹消されたがまだ不十分であり,一方で新規収載の検査2) が相次ぐことを考慮すると,適切なスクラップ&ビルドが推し進められなければならない.

 一般検査の実施場所は診療機関,健診(検診)機関,登録衛生検査所,その他と幅広い3).本稿では診療機関で日常検査として行われ,あるいは外注依頼されている検査で,かつ最新の診療報酬点数表に収載されている項目に的を絞り,要る検査・要らない検査をやや独断と偏見を交えながら記載する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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