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検査じょうほう室 臨床化学:おさえておきたい生化学の知識
血清分離後フィブリン析出阻止器具
著者: 宇治義則1 嶋川淳2 吉田千晶3 戸川勝也4 五十川浩信4 石本哲士5 小島幸雄6
所属機関: 1熊本大学大学院・病態情報解析学分野 2厚生連佐渡総合病院・臨床検査科 3熊本大学附属病院・中央検査部 4積水化学工業株式会社 5アイデザイン株式会社 6ニットーボーメディカル株式会社
ページ範囲:P.723 - P.725
文献購入ページに移動臨床検査の現場では血清分離後にフィブリンが析出する検体にしばしば遭遇する.これらの検体は透析患者や心筋梗塞患者など,抗凝固療法(ヘパリン使用)を施行している患者検体に多くみられ検査現場の臨床検査技師はその対応に日々,苦慮している.へパリンはアンチトロンビンと結合することにより,種々の凝固因子の作用を阻害するが,その主な作用はトロンビン活性の阻害である.しかしながら,その作用は数時間であり,へパリン活性の失活に伴い血清分離した検体にだらだらとフィブリンを析出させることになる1).従来,その除去はガラス棒による巻き取りや蛇毒,硫酸プロタミン,大量のトロンビンを添加して凝固を促進する方法のほか,へパリンを添加して血漿で測定する方法などが用いられているが,これらの処理法は迅速性に欠け,煩雑かつコストも高く,項目によっては測定値に干渉を与えることもあり,新たな処理法の開発が望まれている.
われわれは防塵マスクや顆粒球の除去フィルターの素材として一般に使用されている極細繊維(polyethylene terephtarate;PET繊維)に注目し,そのフィルター作用を利用した迅速かつ簡便なる血清分離後フィブリン析出阻止器具を考案したので紹介する.
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