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絵で見る免疫学 基礎編 45
自然免疫機構と獲得免疫機構の橋渡し(1)―TLR
著者: 高木淳1 玉井一2
所属機関: 1アボットジャパン㈱器機診断薬事業部 2栄光病院
ページ範囲:P.804 - P.805
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ハエは生物が腐敗して微生物が繁殖している場所を好んで生息しわれわれから忌み嫌われている.しかし,このハエにもTollと呼ばれるレセプターが存在し,感染防御をしている.すなわち,ハエは細菌など微生物表面の特異的な分子をTollと呼ばれるレセプターで感知し,抗菌ペプチドを産生し微生物を排除する.最近,ヒトの細胞にもToll様レセプター,すなわちTLRが発見され,Tollと同様に病原微生物に存在する特異的な分子構造を識別する.TLRは,ヒトの多くの細胞,マクロファージ,樹状細胞やT細胞,B細胞などの免疫細胞表面や細胞質内のファゴゾーム(食胞)に存在し,現在10種類のTLRの存在が確認されている.TLRは膜貫通型のレセプターで病原体由来の分子を認識すると細胞質内の多くの物質を経て核に伝達される.種々のサイトカインを発現し,食細胞には細菌のオプソニン化を促すほか,補体系にも活性化を促し,自然免疫系を活性化させて,感染防御機構を誘導する.また,免疫系細胞には活性化に必要なTNF(tumor necrosis factor,腫瘍懐死因子)-α,IL(interleukin)-6,IL-12などの炎症性サイトカインの分泌を促し,獲得免疫系の促進を促す.
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