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文献概要
検査じょうほう室 免疫:レベルアップに役立つ免疫検査の基礎知識
蛋白分画データのパターン解析の重要性
著者: 米川修1 谷脇寛子2
所属機関: 1聖隷浜松病院臨床検査科 2聖隷浜松病院臨床検査センター
ページ範囲:P.818 - P.820
文献購入ページに移動血清蛋白分画の目的,臨床検査において必要とされる背景・意義,解析に必要な基本的事項について解説し,当院の症例を基にパターン認識の重要性を示したい.なお,蛋白分画の系統的解析法に関しては文献1を,より詳しい内容については文献2,3にあたることを勧めたい.
血漿中には80種類以上の蛋白が存在し,主なものには,アルブミン,免疫グロブリン,リポ蛋白などがある.これらは,それぞれ重要な生理的機能を果たしている.生体内では,生合成,異化,体内分布などによりバランスが保たれ,一定濃度を維持している.蛋白の異常(欠損症,異常症)は,生理的機能の破綻を来し,なんらかの病態を招く可能性がある.また,各種の病的状態では,動的平衡が崩れ,病態に対応する蛋白の異常が生じることになる.
したがって,蛋白分画に限らず,一連の蛋白の検査は,疾患の診断,病態の把握,治療の効果判定などの重要な情報源となる.なかでも蛋白分画は,病態を反映する蛋白の反応や変化を少ない検体量で簡便に安価に,また総合的に把握できるため病態解析に有益な検査であり,日常初期診療における臨床検査の使い方基本的検査(日本臨床検査医学会)にも収載されている.ただし,迅速性に欠ける面がある.さらに,多発性骨髄腫,ネフロ―ゼ症候群の診断には有用ではあるが,蛋白分画のみで特定の疾患を推定するには無理があり,臨床情報に加え,他の検査データと併せて解析する姿勢が望まれる.
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