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文献詳細

雑誌文献

検査と技術32巻1号

2004年01月発行

文献概要

絵で見る免疫学 基礎編(49)

TH1とTH2のバランス(3) サイトカインの果たす役割

著者: 高木淳1 玉井一2

所属機関: 1アボットジャパン(株)器機診断薬事業部 2栄光病院

ページ範囲:P.36 - P.37

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サイトカイン(cytokine)

 生体防衛にかかわる免疫細胞は,病原体の侵入に備えて血液や体液の流れに乗ってリンパ節などいろいろな組織を絶えずパトロールしている.抗原提示細胞(antigen presenting cell,APC)である樹状細胞やマクロファージが病原体を捕捉すると,この情報を免疫細胞の司令塔であるナイーブCD4陽性T細胞に伝える.APCがナイーブCD4陽性T細胞へ情報を伝達する手段には2つある.1つはAPCが病原体をペプチド断片にしてT細胞レセプター(T-cell antigen receptor,TCR)に直接伝達する手段である.もう1つは,APCが産生・分泌する分子量8~80×103の液性蛋白質のサイトカインが,周辺に存在するナイーブCD4陽性T細胞のサイトカインレセプターに伝達する手段である.前者はケーブルを使った電話,後者は電波を使った携帯電話による情報伝達のようなものである.

 サイトカインは単に情報を伝達するのみならず,伝達を受けた細胞は分化・成熟や抑制など多様な調節を行う(図1).サイトカインの多くはインターロイキン(interleukin,IL)と名付けられている.“inter(細胞間)”と“leukin(白血球)”の意味であり,現在IL-1~18まで同定されている.しかし,ILの命名法が決まる以前に名付けられたインターフェロン(interferon,IFN),腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor,TNF),増殖因子(growth factor,GF),コロニー刺激因子(colony-stimulating factor,CSF)やケモカインなどの名称は現在でもそのまま使われている(表).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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