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文献詳細

雑誌文献

検査と技術32巻1号

2004年01月発行

文献概要

けんさ質問箱Q&A

運動負荷試験とT波の動き

著者: 福田恵津子1 小笠原憲1

所属機関: 1(財)心臓血管研究所臨床検査部

ページ範囲:P.79 - P.82

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Q運動負荷試験と T波の動き

運動負荷試験で,負荷後にT波が増高するのはなぜですか.また,虚血性心疾患や左心室肥大で陰性T波が陽性化するのはなぜですか.その理由と,それらの所見の臨床的意義を教えてください.(福岡県飯塚市H. K.生)

 ▲運動負荷時のT波の変化について

 T波は性,年齢,体型,体位,呼吸などで容易に変動するため,正常T波といえる波形を分類することは難しいことがあります.同様に,運動によってもT波は容易に変化するため,その臨床的意義を考えるには心電図の全所見や臨床データを参考に総合的に判断する必要があります.運動によるT波の変化の影響としては,心拍数の増加,交感神経の緊張,血行動態の変化,代謝産物などが考えられます.運動負荷におけるT波の変化を表1)にまとめました.正常T波は安静時,,V4-6で上向きで,それらは通常運動で平低化するといわれています.しかし,激しい運動を行った後にT波はむしろ高くなります.特に運動後の回復期にT波の増高が見られ,それは安静時に平低傾向にあるT波で目立ちます.運動時のT波の変化を考えるときにこれら生理的反応とそれ以外の病的反応(虚血反応)であるかを鑑別する必要があります.これらT波の変化をベクトル心電図で説明している文献もありますが,今回は心筋活動電位で考えてみたいと思います.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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