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文献詳細

雑誌文献

検査と技術32巻10号

2004年09月発行

文献概要

増刊号 細胞像の見かた―病理・血液・尿沈渣 第1章 病理 細胞像からここまでわかる 3.乳 腺

4)特殊型乳癌:粘液癌

著者: 都竹正文1 秋山太2

所属機関: 1癌研究会附属病院細胞診断部 2癌研究会研究所病理部

ページ範囲:P.920 - P.922

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浸潤性乳管癌:粘液癌

 特殊型乳癌のうち比較的頻度の高い粘液癌を取り上げ解説する.

 粘液癌(mucinous carcinoma)は浸潤性乳管癌の特殊型乳癌である.本疾患が粘液癌と呼ばれるのは腫瘍細胞が産生した粘液が通常,肉眼的にも顕微鏡的にも豊富に見られるためである.本疾患は細胞外への粘液産生を特徴とする浸潤性乳管癌をいうが,非浸潤性乳管癌のうちにも乳管内に豊富な粘液貯留を呈するものがごく稀にみられる.これらは,現在の規約では,粘液癌に分類しないことになっている.また,いわゆる浸潤性乳管癌癌巣の一部に粘液癌と同じ組織像を認めるものも比較的多くみられるが,このような症例に対してはinvasive ductal carcinoma associated with partially mucus producting features(図8,9)と診断される.すなわち,現在の乳癌取扱い規約では,腫瘍内に粘液産生性癌巣が大部分を占め,これが優位なものを粘液癌としている.本疾患の亜型分類については,一般に純型(pure type)と混合型(mixed type)とに分類されている.純型は癌巣全体が粘液膠様のものをいう.また,混合型は癌胞巣が粘液巣に包まれることなく,その一部に通常の浸潤性乳管癌癌巣が観察される.すなわち,粘液癌と浸潤性乳管癌との混在したものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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