文献詳細
文献概要
増刊号 細胞像の見かた―病理・血液・尿沈渣 第1章 病理 細胞像からここまでわかる 4.呼吸器
6)腺様嚢胞癌
著者: 堀内啓1 荒井政和1 松谷章司1
所属機関: 1NTT東日本関東病院病理診断部
ページ範囲:P.960 - P.962
文献購入ページに移動腺様嚢胞癌は,気管支付属腺由来で,唾液腺型の特殊な肺癌の1つであり,他には粘表皮癌がこのグループに属する.発生率は原発性肺癌全体の0.2%以下である.通常は,気管下部や主気管支・葉気管支などの太い気管支に発生し,それより末梢に発生することは稀である.症状は,気道閉塞あるいは気道刺激に起因する症状を呈する.腫瘍が気管支内に発育するため,単純X線写真では腫瘤を見つけにくいが,気管支ファイバーでは容易に発見できる.腺様嚢癌は,しばしば気管支壁に沿って浸潤性に発育するため,不完全な切除となりやすく,術後何年も経過してから局所再発を起こすことも時に経験される.遠隔転移はまれである.予後は,通常の肺癌よりは良いが,他の気管支腺由来の腫瘍と比べると悪い.担癌状態で長期生存する症例もあり,通常の肺癌とは生物学的態度が異なる.
細胞像
(1)豊富な腫瘍細胞の出現
掲載誌情報