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増刊号 細胞像の見かた―病理・血液・尿沈渣 第1章 病理 細胞像からここまでわかる 4.呼吸器
7)カルチノイド
著者: 堀内啓1 荒井政和1 松谷章司1
所属機関: 1NTT東日本関東病院病理診断部
ページ範囲:P.963 - P.965
文献購入ページに移動カルチノイドは低悪性度の神経内分泌系腫瘍で,細胞質に神経内分泌顆粒を持つのが特徴である.カルチノイドは全肺腫瘍の1~2%を占め,発病年齢は腺癌より若く,男性にやや多い.発生部位により,中枢型と末梢型とに分かれるが,前者の方が多い.病理学的には,定型的カルチノイドと異型カルチノイドとに細分類され,後者はより悪性度の高い腫瘍であり,カルチノイド全体の約10%を占める.カルチノイドは,十分な切除が行われれば,予後は比較的良好である.
臨床症状は無症状のことが多く,血痰や腫瘍による閉塞性肺炎の症状が比較的頻度が高い.特徴的なのは,カルチノイドの産生するホルモンにより,カルチノイド症候群などの内分泌症状を示すことである.ただし,これらの腫瘍随伴症候群を呈する頻度は低く,カルチノイドの2~7%と報告されている.本症候群はカルチノイドから分泌されるセロトニンにより惹起されると考えられており,血中セロトニンの増加と,その終末産物である5-ヒドロキシインドールアセティックアシッド(5-hydroxyindol acetic acid,5-HIAA)が尿中に増加する.
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