文献詳細
文献概要
増刊号 細胞像の見かた―病理・血液・尿沈渣 第1章 病理 細胞像からここまでわかる 4.呼吸器
8)粘表皮癌
著者: 堀内啓1 荒井政和1 松谷章司1
所属機関: 1NTT東日本関東病院病理診断部
ページ範囲:P.966 - P.968
文献購入ページに移動粘表皮癌は,肺門部の主気管支や葉気管支などの太い気道に発生し,粘液を分泌する腺細胞,扁平上皮細胞,およびそれらの中間的な性格の細胞(中間型細胞)から成る腫瘍である.頻度は稀で,原発性肺癌の0.1~0.2%程度といわれている.若年者に好発し,約半数の症例では発症年齢が30歳以下である.太い気道の閉塞症状(咳,血痰,発熱)を示すことが多く,閉塞性肺炎を伴いやすいが,無症状のこともある.病理学的には,低悪性度と高悪性度との腫瘍に大別されるが,大部分は低悪性度の腫瘍で,全体の75~80%を占める.低悪性度の粘表皮癌では,リンパ節や他臓器に転移することは稀で,完全に切除されれば予後は良好である.
細胞像
【低悪性度粘表皮癌】
(1)粘液や細胞破砕物を含む背景
掲載誌情報