icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術32巻10号

2004年09月発行

文献概要

増刊号 細胞像の見かた―病理・血液・尿沈渣 第1章 病理 細胞像からここまでわかる 5.体腔液

2)悪性中皮腫

著者: 堀内啓1 伊藤光洋1 松谷章司1

所属機関: 1NTT東日本関東病院病理診断部

ページ範囲:P.988 - P.991

文献購入ページに移動
臨床的特徴

 悪性中皮腫は胸腔,腹腔,心嚢の表面を覆う中皮から発生する悪性腫瘍である(図1).アスベストを扱う職業の人に多く発生し,アスベストへの曝露と悪性中皮腫の発生が関連していると考えられている(図2).アスベストへの曝露から発症まで平均35年を要す.好発年齢は50~70歳で,男性が女性より数倍多い.症状は緩徐で,初発症状は胸痛と呼吸困難が最も多い.90%くらいの症例で,病初期に体腔液の貯留を伴い,診断における細胞診の役割が重要となる.予後は非常に悪く,平均生存期間は発症から12~15か月である.悪性中皮腫は,漿膜に多発性の結節として発生し,進行すると漿膜全体に腫瘍が浸潤して肥厚し,体腔内の臓器を取り囲むようになる.組織学的には,悪性中皮腫は多彩な組織像を示し,鑑別すべき腫瘍も多く,診断が難しい腫瘍の一つである.


細胞像

 (1)豊富な細胞集塊の出現

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?