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文献詳細

雑誌文献

検査と技術32巻11号

2004年10月発行

文献概要

検査データを考える

好酸球増加

著者: 岡村精一1

所属機関: 1独立行政法人国立病院機構九州医療センター血液内科

ページ範囲:P.1285 - P.1288

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 はじめに

 白血球は顆粒球,リンパ球および単球に分けられるが,顆粒球はその所持する顆粒の性質により好中球,好酸球および好塩基球に分けられる.好酸球は他の顆粒球とエオジンのような好酸性アニリン染料を吸収する結晶状の顆粒があり,塗抹標本のメイ-ギムザ染色(May-Giemsa stain)では顆粒がオレンジから赤色に染まることで,形態学的に容易に鑑別される.しかし,塗抹標本での好酸球の分布(中心部や辺縁などでの差)が必ずしも一定ではないので自動血球測定器による測定のほうが好酸球数はより正確であるという報告もある.末梢血の血球検査は日常一般検査として広く行われており,好酸球はその特徴的な顆粒の存在から測定値は正確で,種々の疾患や病態で変動するので,日々の臨床上その把握は重要である.

 この好酸球は骨髄で造血幹細胞から分化・成熟して産生される.この過程にインターロイキン3(interleukin-3,IL-3),インターロイキン5(IL-5),顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)などの微量のサイトカインが働いていることが知られており,特にIL-5は調節因子として最も重要であると考えられている.一方,好酸球の顆粒中には組織障害をきたす物質を含んでおり,長期に高度の好酸球増加が続けば臓器障害をきたすことがある.

 本稿では好酸球が増加した場合について概説する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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