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文献詳細

雑誌文献

検査と技術32巻11号

2004年10月発行

文献概要

今月の表紙

百聞は一見に如かず・10 骨髄巨核球の話

著者: 松谷章司1

所属機関: 1NTT東日本関東病院病理診断部

ページ範囲:P.1264 - P.1264

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 骨髄巨核球は大きく,骨髄組織の中にあって他の造血細胞から際立った存在です.その数の厳密な評価は塗抹標本では不可能で,組織切片が必要となります.実際,その数は6~30/mm2という狭い範囲に保たれています(これは血小板数が正常値を示した非血液疾患の吸引骨髄組織切片から算定した平均値±2SDに相当するもので,減少あるいは増加の目安になる).減少の代表的疾患は再性不良性貧血(aplastic anemia,AA)で,骨髄巨核球の低形成は重要な診断根拠となります.骨髄巨核球増加の代表的疾患は特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura,ITP)で,骨髄巨核球数の正常もしくは増加所見が診断根拠の一つとなります.白血病をはじめとする骨髄増殖性疾患のうちで,骨髄巨核球が増加を示す疾患の頻度を調べると,急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia,AML)は7.6%,急性リンパ性白血病(acute lymphoid leukemia,ALL)は10.4%と低頻度です.一方,慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia,CML)38.6%,骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome,MDS)40.4%,骨髄線維症(myelofibrosis,MF)50.0%,真性多血症(polycythemia vera,PV)62.5%,本態性血小板血症(essential thrombocythemia,ET)92.3%と,高頻度に認められ,MDSや慢性骨髄増殖症候群では,多能性造血幹細胞の病変であることの現れであることがわかります.しかし,それ以上に興味深いのは骨髄巨核球の形態です.Nafe(1991)は慢性骨髄増殖症候群における骨髄巨核球の形態計測をしており,まとめると表1のようになります.

 細胞面積,核面積,核分葉指数からETとPVでは細胞が大きく,核の分葉が顕著であること,CMLでは細胞が小さく,核の分葉が乏しいことを示しています.核形因子からCML>正常≧PV>ETの順に円形に近い核をもつことを示しており,CMLでは比較的単純な形の小型核を有するものが多く,ETは複雑な核形態をもつ大型核を有していることを示しています.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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