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文献詳細

雑誌文献

検査と技術32巻11号

2004年10月発行

トピックス

糖尿病の大血管合併症に対する治療戦略

著者: 山崎義光1

所属機関: 1大阪大学大学院医学研究科病態情報内科学

ページ範囲:P.1322 - P.1323

文献概要

■糖尿病大血管合併症の病像

 冠動脈疾患患者の6~7割は,糖尿病および境界型糖尿病患者である.逆に現在740万人と推計されている糖尿病患者の死因の15~20%は冠動脈疾患,15%は脳血管障害とされている.これらの点から,糖尿病患者の動脈硬化すなわち糖尿病大血管合併症は,糖尿病患者のQOLのみならず,死因を左右する極めて重大な疾患である.その危険因子として高血糖(殊に食後の血糖上昇),高インスリン血症あるいはインスリン抵抗性,その他の古典的危険因子(異脂質血症,高血圧,喫煙,高尿酸血症)以外に近年,遺伝子多型,慢性炎症,凝固線溶系異常,高ホモシスチン血症など多数の危険因子の関与が指摘されている.

 すべての糖尿病患者に動脈硬化が進展するとはかぎらず,かつ動脈硬化進展群でも冠動脈疾患および脳梗塞を発症する症例はやはり限られた症例であることが知られている.現在,動脈硬化高リスク群を血液検査から診断することは,一部の遺伝疾患を除いて不可能である.したがって,動脈硬化の進展群,非進展群を診断するのは非侵襲的な超音波検査が望ましい.われわれは,皮下直下を走行する頸動脈に,大動脈とほぼ同時期と早期に動脈硬化病変が出現すること,微細な病変の観察が可能な高周波数の超音波が到達可能であることより,超音波断層法を用いる頸動脈内膜中膜複合体肥厚度計測法を開発した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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