icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術32巻11号

2004年10月発行

文献概要

失敗から学び磨く検査技術 病理標本作製法

検体採取に起因するアーティファクト 検体採取前に変性している組織の取り扱い (2)脳

著者: 広井禎之1

所属機関: 1防衛医科大学校病理学第一講座

ページ範囲:P.1296 - P.1299

文献購入ページに移動
 壊死した組織や,死後長時間が経過した場合には組織構造や細胞構造が観察できないことがある.

 脳組織でも自家融解のため,組織構造,細胞同定が不可能となる.マクロでは脳が融解壊死のため軟化し,原形をとどめない.ミクロでは壊死像を呈し,炎症細胞浸潤の見られないのが特徴である(図1~4).また,脳は摘出後基本的には割を入れず,脳底動脈,橋もしくは硬膜に糸を掛けて固定液中につるす浸透固定を行う.この場合,脳の中央部に死後変化が生じやすく,ガスを産生する細菌がその部に繁殖していわゆるスイスチーズ(Swiss cheese)のような孔が見られることもある(本シリーズ「固定不良」の項にて解説).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?