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文献詳細

雑誌文献

検査と技術32巻11号

2004年10月発行

文献概要

検査じょうほう室 生化学:おさえておきたい生化学の知識

ヘパリン入り採血管の測定値への影響

著者: 刈米和子1

所属機関: 1東京都立荏原病院検査科

ページ範囲:P.1308 - P.1309

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 はじめに

 今や,診断や治療決定のために,検査はなくてはならないものになっている.医師は再診の患者には診察前の検査オーダーをし,診察時には検査データを参考にして治療方針の継続や変更などを行う.また,初診の患者には問診後,診断を確定するために検査のオーダーをする.

 医師が検査をオーダーして,検査結果がその医師の元に戻ってくるまでの時間をTAT(turnaround time)といい,TATの短縮が検査のサービスの一つになっている.われわれは採血後30分でデータを返すことにしているが,医師はいかに早く検査結果が見られるかで検査科に対する評価をしているようだ.

 このような状況下,プレーン採血管を用いると,血餅収縮(10~15分間)を待ってから遠心分離(1,500g,10分間)をして得た血清を用いて検査するので,30分近くは掛かってしまう.そこでTATに占める検体処理時間の短縮化を図るためには現在のところ,ヘパリン採血管を用いることが最良の方法であると思われる.

 ヘパリン処理で得た血漿での検査については,従来使われてきた基準範囲などに対する一致性や,免疫学的検査などに使いまわしできるかどうかの問題はあるが,前者は一致しない検査項目についてはそれを認識し,後者は効率的な採血管の組み合わせの工夫により解決可能な事項でもある1).もしこのあたりにこだわりすぎると,臨床の要望に応えられなくなり,結果として自己満足の検査室になってしまう.したがって違いを認識したうえで,いかに早くデータを提供し,検査結果を使ってもらうことで価値を増すかが重要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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