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文献詳細

雑誌文献

検査と技術32巻12号

2004年11月発行

文献概要

検査じょうほう室 生理:見落としがちな大切なこと

腹部超音波検査による胃潰瘍像の描出とその工夫

著者: 越後宗郎1 小谷和彦2

所属機関: 1藤井政雄記念病院超音波室 2鳥取大学医学部臨床検査医学

ページ範囲:P.1378 - P.1381

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 はじめに

 「上腹部痛」を愁訴とする受診者に対しては腹部超音波検査(abdominal ultrasonic test以下,USと略)で肝・胆・膵などを広くスクリーニングし,それらの臓器に異常のない場合には胃十二指腸内視鏡検査(gastrointenstinal fiberscopy,以下GIFと略)を行うといった手順で検査が進められることが多い.この場合,GIFは,胃潰瘍などの検索を主たる目的としている.GIF前のスクリーニングUSでは,胃や十二指腸の病態への言及は必ずしも期待されていないことが通例である.しかし,この検査の流れに少しばかり「ちょっと待った」と言いたい.

 実は,US実施時におけるちょっとした工夫で,胃や十二指腸の拡張,浮腫,壁の伸展性を評価でき,潰瘍像をも明瞭に指摘できるのだ.これはとりもなおさず,引き続き行われるGIF施行医に際して,胃十二指腸潰瘍の存在や重症度などを事前の情報として伝達できるということを意味する.GIF施行医は,これを参考にして入念に検査することができ,大変有益な情報になるだろう.また,GIFは苦痛を伴う検査である.仮にGIFをしたくないと受診者からいわれたときに,上腹部痛の診断に際して,「胃や十二指腸のことは検査しないと全くわからない」と説明するのと,「USで見た限り何かの所見が疑われる」というのとでは,その後の検査の流れも変わってくると思われる.さらに,胃周囲への炎症の波及などはGIFではわからない.この病状についてはUSによる診断能のほうが優れている.当然,以後の治療の決定にも影響してくる.

 今日ではUSで,消化管病変は検出できるようになりつつある1,2).本稿では,特に胃潰瘍を取り上げ,その描出の経験や臨床的貢献の様子を示しつつ,説得力のある病像の検出のための工夫について述べたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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