icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術32巻12号

2004年11月発行

文献概要

ラボクイズ

10月号の解答と解説

著者: 深津俊明12

所属機関: 1名古屋掖済会病院中央検査部 2名古屋掖済会病院中央輸血部

ページ範囲:P.1365 - P.1365

文献購入ページに移動
【問題1】 解答:(5),【問題2】 解答:(5)

解説:プロトロンビン時間(prothrombin time,PT)は被検血漿にCa2+と組織トロンボプラスチンを加えてフィブリンが形成されるまでの時間を測定する外因系凝固因子活性のスクリーニング検査で,フィブリノゲン(Ⅰ),プロトロンビン(Ⅱ),Ⅴ,Ⅶ,Ⅹ因子の凝固活性の影響を受ける.PTの値は試薬間,ロット間,機種間に差があるため施設間のデータは比較できない.そこで,PT試薬の一次国際標準品を定め,各種の試薬のロットごとにその標準品に対する力価の係数(international sensitivity index,ISI)を設定し,その値で被検血漿の対照との比(prothrombin ratio,PR)を補正する方法がPT-INR(international normalized ratio)である(INR=PRISI).一方,活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time,APTT)は被検血漿にCa2+とリン脂質,さらにカオリンなどの接触因子活性化剤を添加し,フィブリンが形成されるまでの時間を測定する内因系凝固因子活性(Ⅰ,Ⅱ,Ⅴ,Ⅶ,Ⅸ,Ⅹ,ⅩⅠ,ⅩⅡ)のスクリーニング検査である.

 APTTとPTとの著明な延長がみられた場合,(1)点滴ラインからの採血や部分的に凝固したサンプルなどの血液採取時の問題(分析前誤差),(2)播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation,DIC)や肝硬変,劇症肝炎などの高度肝傷害,(3)循環抗凝血素などの凝固インヒビターの存在,(4)ヘパリンやワルファリンなど抗凝固剤の投与(ワルファリンは主にPT延長を,ヘパリンは主にAPTT延長をきたす),(5)ビタミンK欠乏,(6)APTT,PTに共通するⅩ,Ⅴ因子,プロトロンビン(Ⅱ),フィブリノゲン(Ⅰ)の先天性凝固因子欠損症,などが考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら