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これからの臨床化学
著者: 濱崎直孝12
所属機関: 1九州大学大学院医学研究院臨床検査医学 2日本臨床科学会
ページ範囲:P.1459 - P.1459
文献購入ページに移動臨床化学(臨床検査といってもよい)の基本は生体成分の科学的定量分析であり,科学的定量分析に必要なものは「正確性」と「精密性である.分析された結果の測定値は再現性があり,その測定単位(dimension)が同じであれば,その数字を単純に比較検討できなければならない.残念ながら,これまでの臨床化学分析は科学的定量分析とは言い難い部分があった.「臨床検査測定値はそれぞれの病院に特有なものであり,患者が転院すれば検査はやり直すのが当然で,別の病院の臨床検査データは利用できない」のがこれまでの臨床化学分析であった.しかしながら,現在では,検査試薬の整備と分析機器の発達により臨床化学分析に普遍性が備わり,別の病院の臨床検査データを共通に利用できる(臨床検査データの標準化)環境が整ったといってよい.臨床検査に関わっているわれわれの認識を改めるだけで,臨床検査データの全国的な標準化は可能になりつつある.臨床化学の当面の重要課題の一つは,地味ではあるが,臨床検査データの国内的な標準化の完成である.検査データの標準化が進めば,臨床検査のデータベースが完備し疾病の診断・治療基準が標準化され,日本の医療の質が格段に上がることになる.
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