文献詳細
絵で見る免疫学 基礎編(60)
宿主とウイルスの攻防(5) インフルエンザウイルス その2
著者: 高木淳1 玉井一2
所属機関: 1アボットジャパン(株)器機診断薬事業部・営業学術 2栄光病院
ページ範囲:P.1462 - P.1463
文献概要
トリインフルエンザウイルスはヒトではあまり増殖しないのではないかと考えられている.それは,トリ-トリ間で感染するウイルスとヒト-ヒト間で感染するウイルスとのHAとシアル酸との結合の特異性に違いがあるからである.トリ-トリ間で感染するHAはシアル酸がガラクトースα2-3に結合したもの(α2.3Gal)を,ヒト-ヒト間で感染するHAはシアル酸がガラクトースにα2-6結合したもの(SAα2.6Gal)を特異的に認識する(図2).したがってH5N1のヒトへの散発的感染報告は東南アジアであるが大流行には至らなかったと考えられる.しかし,1997年に香港でトリH5N1がヒトSAα2.6Galを認識して感染したことが確認されているので,インフルエンザウイルスのHAとシアル酸-ガラクトースの結合の特異性はあまり厳密なものではないのかもしれない1).
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