icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術32巻2号

2004年02月発行

ラボクイズ

1月号の解答と解説

著者: 大家辰彦1 犀川哲典1

所属機関: 1大分医科大学臨床検査医学講座

ページ範囲:P.119 - P.119

文献概要

【問題1】 解答:④

【問題2】 解答:⑤

 問題の図1の心電図は,右脚ブロック様QRS波形と右側胸部誘導で特徴的なST上昇を伴うBrugada症候群に典型的な心電図である.

肺梗塞も失神をきたすため,意識消失発作における鑑別疾患として挙げられる.心電図所見としては右室負荷所見に伴う,上方電気軸偏位,S1Q3,右脚ブロック,右室肥大,低電位等が知られているが,これらQRS波形の変化は20%前後とその発現頻度はあまり高くない.このほかV1誘導を除く右側胸部誘導での陰性T波も半数程度にみられる.急性心筋梗塞では閉塞冠動脈領域に一致した誘導でのST上昇および対側のST低下が確認される.その後T波の陰転化(冠性T波),異常Q波が出現する,一連の経時的変化が認められる.本例での心電図ST上昇は心筋梗塞時と明らかに異なっており,対側のST低下もない.急性心筋炎では冠動脈領域とは無関係のST上昇をきたすほか,各種伝導障害も認められる.一般的に急性心筋炎では病歴上先行感染が認められ,最終的には冠動脈造影検査および心筋生検で確定される.QT延長症候群は心電図上著明なST部分の延長が認められ,多形性心室頻拍を生じる遺伝性疾患である.本例の心電図では明らかなQT延長は認められず,本疾患は否定的である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら