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文献詳細

雑誌文献

検査と技術32巻3号

2004年03月発行

文献概要

Laboratory Practice 病理 細胞像からここまでわかる

乳腺(10) 顆粒細胞腫

著者: 都竹正文1 秋山太2

所属機関: 1癌研究会附属病院細胞診断部 2癌研究会研究所病理部

ページ範囲:P.252 - P.255

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概念および臨床的事項

 顆粒細胞腫(granular cell tumor)は,以前は顆粒細胞性筋芽腫(granular cell myoblastoma)といわれており,最初Abrikossoffが筋芽腫性筋腫(myoblastenmyom)と呼んだ腫瘍である(アブリコソフ腫瘍,Abrikossoff tumor).従来,筋原性が考えられたが,最近は電子顕微鏡(電顕)所見などからシュワン細胞(Schwann cell)起源を考える人が多い.しかし,平滑筋細胞やエナメル上皮(顆粒細胞性エナメル上皮腫,granular cell ameloblastoma)にも同様の顆粒が出現することが知られており,この腫瘍が単一細胞起源でないという人もいる.舌に最も多く,ほかに乳房,外陰,消化管,皮膚,皮下などにも発生する.皮下など軟部のものは胸壁,腹壁など躯幹に多い.乳房や皮下では被包された腫瘍塊(図1,2)を作るが,舌などでは被膜を有しないものが多い.大きさは直径10~20mmのものがほとんどであり,巨大にはならない.

 顆粒細胞腫は原則として良性であるが,軟部に発生したものでは極めて稀に転移を起こすことがある.こういうものを悪性型として区別する.女性での頻度が高く,40mmを超える大きなものが多く,これらは浸潤性で壊死を認めることもある.組織形態は良性例のそれとほぼ同様であるが,N/Cの増加,核の多形性,大型の核小体,分裂像の増加,紡錘形細胞の出現,壊死の存在が挙げられており,このうち3つ以上の所見を認めるものが悪性とみなされる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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